芥川賞作家・村田沙耶香氏のベストセラー小説「消滅世界」が著者初の実写映画化。
今春英語版が刊行され、アメリカのニューヨーカー誌でも映画化が報じられるなど、世界的注目を浴びる原作を、気鋭の映像ディレクターである川村誠が初監督・初脚本を手掛け、NAKACHIKA PICTURES配給により、2025年11月28日(金)より全国公開いたします。
この度、本予告とメインビジュアルがついに解禁!
結婚生活に性愛が入ることを禁じられた世界で、愛し合った夫婦から生まれた少女が、自分の周りにある“普通”と自分から湧き出る欲情に向き合っていく物語。SFの空気をまとい、“普通”や“正しさ”という問題に独自の視点で切り込んでいく村田沙耶香ならではの世界観。そのエッセンスを鋭く抽出した予告編が完成した。
舞台は、人工授精で子どもを産むことが定着した近未来の日本。夫婦間の性行為はタブーとされ、恋や性愛の対象は“家庭の外”の恋人か、二次元キャラが常識になっていた。それは“両親が愛し合った末”に生まれた子は異常とされる世界。主人公の雨音(蒔田彩珠)は、「お前、人工授精じゃないの? 気持ち悪い」と学校で虐められ、「お母さんは、なんで普通じゃない方法で私を妊娠したの?」と母親の雫(霧島れいか)に嫌悪を抱き、「私はお母さんとは違う。みんなと同じなんだ」と自分に言い聞かせていた。
雨音の性愛の対象は二次元キャラのラピス。自分がラピスに恋をしていると実感する時、自分は母とは違うのだ、周囲と同じく正常だとわかって喜びを感じる雨音。「初めて恋をすることを教えてくれた」ラピスを同じく愛する同級生の水内(結木滉星)と特異な性関係を持つようになる雨音は、水内との身体のつながりに心が満たされていく。
大人に成長した雨音は、性愛を持ち込まない清潔な結婚生活を望み、夫以外の男性やキャラクターと恋愛を重ねていた。“普通”であるはずの夫と結婚したものの、その夫は「身体が反応してしまって…」と“妻”である雨音に性行為を求める。それは、この世界では“近親相姦”と非難される行為。夫が許せなかった雨音は離婚を選択する。
間もなく、元夫とは正反対の朔(栁俊太郎)と出会う。元夫から非常識な行為を受けた雨音に心からの同情を寄せる朔。その朔も、雨音との結婚を意識しながらも他の恋人がいる。そんな今の世界の常識を「あぁ嫌だ。汚らわしい。ちゃんと愛し合って子供を作りなさい」と叱責する雫だが、雨音は朔と結婚。性愛とは無縁の穏やかな結婚生活を楽しんでいた。
その頃、住民全体で計画的に人工授精、出産、管理を行い、住民みんなで子育てをする実験都市「エデン」が千葉に作られていた。そこは恋愛も性も完全に無い世界。雨音と朔にとってまさに“理想の楽園”に居を移す二人。朔から「二人の遺伝子を受け継いだ健全な子を産むんです。もちろん人工授精で」と持ちかけられた雨音は「朔くんとの子なら作りたい」と同意。だが、その人工授精による妊娠が、二人の関係を狂わせていく。「私ね、怖いの。どこまでも“正常”が追いかけてくる」と困惑を見せはじめる雨音。果たして“エデン”は、本当にユートピアなのか。それとも、ディストピアなのか ⎯⎯⎯⎯ 同時に解禁された本ビジュアルは、雨音と朔が結婚生活を送るエデンで、住民全員が着衣している白い装束をまとった二人が、背景に広がる無機的な空間の中で無表情に佇む姿が記憶に残る。それらが、正常/異常の境界線の曖昧さを示している。正しさとは何なのか。今、正しいと言われることは本当に正しいのか。それは自分にとっては正しいことなのか。村田沙耶香の視点が、少子高齢化真っ只中の現代社会に突き刺さる。キャッチコピーである「あなたの正常が試される」が視覚化されたビジュアルは、観る者の判断そのものが問われる映画であることを指し示している。。