
本作主演のウィル・オーが日本の観客に向けたメッセージ映像が到着!
本作で広東出身の人力車の車夫・趙公道(ザオ・ゴンダオ)を演じた主演ウィル・オーより、日本の観客に向けたメッセージ映像が到着。
映像内でウィル・オーは、日本語で「こんにちは!」と挨拶し、「5月8日から『霧のごとく』が日本で全国公開されます」と日本の観客へメッセージを送る。
さらに、「チェン・ユーシュン監督とともに作り上げた、とても特別な作品です」「日本のみなさんにどう感じてもらえるのか、とても楽しみにしています」と作品への思いを語り、趙公道が作中で印象的に発する台詞「出発!」も披露。
映像のラストでは、日本語で「観てください」と呼びかけ、はにかむような笑顔でメッセージを締めくくっている。
併せて、主演ウィル・オーによるインタビューが到着。
趙公道の人物像や、白色テロという台湾の歴史的背景に向き合った想い、さらにチェン・ユーシュン監督とのエピソードまで深く語った。
――ウィル・オーさんは、国民党軍の元軍人で人力車の車夫・趙公道(ザオ・ゴンダオ)を演じられました。過去に深い絶望と喪失を抱えながらも、あたたかな人情に溢れる人物として印象的でしたが、趙公道という人物をどのように捉え、演じられましたか。
まず、役を理解していくうえで、脚本を二つのレイヤーから分析しました。
ひとつは、彼自身がどのような人なのかを理解すること。彼が周囲の人々や自分を取り巻く環境にどう対処したのかという部分。もうひとつは、当時の台湾の再現度を上げるために当時何があったのかという歴史を理解するというレイヤーです。
そして、その二つをどう物語の中に落とし込んでいくか、趙公道という人物の特性と面白さをどう成立させていくかを、チェン・ユーシュン監督と丁寧に話し合いながら作り上げていきました。
――初めて本作の台本をお読みになった際、どのような印象を受けられましたか?
脚本を読んだとき、チェン・ユーシュン監督は非常に誠実な書き手だと感じました。
『霧のごとく』というタイトルの通り、“霧に囲まれている当時の台湾”を出来る限り再現したいのだなと感じました。監督の表現がとても繊細であたたかく、脚本を読んでいるときは思わず涙が出そうになりました。
――白色テロという台湾の歴史的背景を描いた本作に出演されるにあたり、どのようなお気持ちで役に向き合われましたか。
出演のお話をいただいたときは、とても嬉しかった反面、同時に大きな緊張もありました。白色テロは台湾の歴史において非常に重要な出来事です。その題材に向き合う以上、真摯な気持ちで取り組まなければならないと思いました。
さらに、僕自身は香港出身ですので、“台湾の外から来た人物”としてこの役を演じることへのプレッシャーも大きかったです。
それでも、最終的に台湾の観客の皆さんが、香港人が演じたこの役を受け入れ、愛してくださったことが本当に嬉しかったですし、香港人としてこの作品に参加できたことを誇りに思っています。
――チェン・ユーシュン監督は、ウィル・オーさんにとってどのような存在でしたか。また、現場でのコミュニケーションについてもお聞かせください。
撮影中は、作品が扱う歴史的背景もあり、常に大きなプレッシャーを感じていました。監督からの支えが本当に必要でした。その一方で、最終的にはそのプレッシャーを自分自身で受け止め、消化していかなければならないということを、チェン・ユーシュン監督から学ばせてもらいました。
監督はこの作品に対して非常に真摯で、現場でも強い覚悟と厳しさを持って向き合っていました。僕もこの作品で成長できたと思っています。僕にとって監督は、「とても愛らしいけれど厳しい先生」のような存在でした。
――阿月を演じたケイトリン・ファンさんとの演技のアンサンブルも素晴らしかったです。共演を通して印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。
ケイトリン・ファンさんは、本当に天才だと思います(笑)。
当時、彼女は撮影と並行して学校の宿題も抱えていたのですが、日々の宿題をこなすだけでなく、翌日、そのまた翌日の撮影に向けた準備まで、本当に丁寧に取り組んでいました。彼女は才能があるだけではなく、とても努力家で、心から尊敬しています。
撮影初日から、すでに万全の準備を整えたうえで真摯に演技へ向き合っていて、その姿勢にとても感銘を受けました。撮影初期の僕が自分の役についてまだ模索中だった時期に、彼女は自分の役を様々な角度から見つめる作業をしていました。
彼女と共演する中で、自分自身も俳優としての初心を思い出させてもらった気がします。
――中国広東省出身で国民党軍の元軍人という背景を持つ役柄として、台湾語・中国語・広東語が混ざり合った話し方をされていますが、このような言語表現はどのように習得されたのでしょうか。
実際、当時の台湾には、さまざまな言語が入り混じる環境が存在していたので、その時代性を反映しています。
趙公道は広東省出身の元軍人なので、もともとは広東語を話しています。しかし台湾へ渡った後、公的な場では当時のオフィシャルな言語である中国語を身につけ、さらに台湾の人々と交流していく中で、自然と台湾語も覚えていった人物です。
公道は、誰かに教わった言葉を、そのまま素直に吸収して使っていくような感覚で、さまざまな言語を身につけたのです。
実は、山東地方のスラングなどもたくさん取り入れていますので、ぜひそうした言葉遣いにも注目していただけたら嬉しいです。
趙公道という人物は、“外から来た人”でありながら、その土地の人々と深く交流することを愛していた人物です。だからこそ、彼は“言葉の壁を越えて生きてきた人”になっていったのだと思います。
――ラストシーンの「出発!」という一言は、ウィル・オーさんの発案だったと伺いました。その誕生の経緯や撮影時のエピソードについてお聞かせください。
実は、あまり覚えていないんです(笑)。
確か、エスカレーターに乗った瞬間に自然と口から出てきた言葉だったと思います。監督も気に入ってくれたので、そのまま採用になったのだったと思います。僕は普段から、かなり直感的に芝居をするタイプなんです。
なので、その場で自然に湧き上がってきたものを、そのまま言葉にしたのだと思いました。
――『霧のごとく』の日本公開にあたり、印象的だった出来事はありますか。
本作を、画家の奈良美智さんが台湾でご覧になったとネットで知り、とても感激しました。昨年5月に日本を訪れた際、奈良さんの展覧会にも足を運んでいたので、自分の大好きな画家にこの作品を観ていただけたことが本当に嬉しかったです。
さらに、奈良さんがご自身のXで『霧のごとく』について投稿してくださっていたことにも驚きました。こうして作品を通じてつながることができたのは、本当に素晴らしいご縁だと感じています。
――最後に、『霧のごとく』をご覧になる日本の観客の皆さまへみどころとメッセージをお願いします。
本作では、1950〜60年代の台湾を再現した空気感や、白色テロの中で失われてしまった時代の風景、その中で人々がどのように暮らしていたのかを感じていただけると思います。
厳しい時代ではありましたが、人々はとても人情味にあふれた生活を送っていました。何もかもが失われてしまった時代だからこそ、それでも勇敢に未来へ立ち向かおうとする人々の姿が、この作品では描かれています。
そしてチェン・ユーシュン監督自身、「言葉は壁ではない」という思いを、この作品に込めているように感じています。言葉が違っていても、人の心は通じ合える――そんなメッセージが、この映画には流れています。
ぜひ、日本の皆さんにも映画『霧のごとく』をご覧いただけたら嬉しいです。
監督・脚本:チェン・ユーシュン
出演:ケイトリン・ファン、ウィル・オー、9m88、ツェン・ジンホア、リウ・グァンティン、ビビアン・ソン
2025年│134分│台湾│原題:大濛│カラー│配給:JAIHO/Stranger
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